2012.02.02 【FX Morning Report】 リスク選好が継続するかが焦点

<目まぐるしく変化するトレンド>
月曜日のレポートで、今週はトレンドの変化が激しくなる可能性があると指摘したが、昨日はギリシャ債務減免協議が合意に至るとの期待感や中国、ユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)の好結果を受け、週初とはうって変わり投資家のリスク選好姿勢が強まった。投資家の不安心理を表すVIX指数(恐怖指数)は再び20ポイントの水準を割り込み、欧州債券市場ではイタリアやとスペインの10年債利回りが低下したことを考えると、投資家のセンチメントが日々揺れ動いているのがわかる。
また、昨日の値動きで注目したいのは米株式の動向だろう。ここ直近の米経済指標はさえない内容となっている。昨日も1月ADP雇用統計やISM製造業景況指数が市場予想に届かなかった。しかし、米株式ではリスク選好の動きが強まり、米SPX、ウォール街株価指数共に週初のリスクオフによる下落を相殺する上昇となった。また金先物相場も、昨年12月8日以来となる1750ドル台に到達する局面が見られた。米景気に対する強気の認識が徐々に後退し、ドイツが大幅な予算削減を求めているため、ギリシャ債務減免協議は依然予断を許さない状況となっているにもかかわらず、投資家のリスク選好が米株式市場で強まった背景には、米金融緩和継続を背景にした過剰流動性への期待感が株式や商品市場の下支え要因となる、という市場心理がうかがえる。

この観点で考えれば、本日も米経済指標にらみの状況が続きそうだ。特に市場予想を下回った場合のリスクトレンドに注目したい。昨日のADP雇用統計やISM製造業の雇用インデックスは54.3と前月の54.8から低下した。本日の米新規失業保険申請件数などでも市場を裏切る内容となれば、明日の米雇用統計に対する警戒感が台頭する可能性が出てくる。ただ、昨日と同様に株式市場や商品市場でリスク選好姿勢が継続すれば、米経済指標の悪化はむしろ米連邦公開市場委員会(FOMC)の量的緩和第3弾(QE3)の可能性を市場はますます意識するのではないか。
一方、欧州ではスペインとフランスの国債入札が控えている。スペインに関しては欧州中央銀行(ECB)による3年物オペの効果により、堅調さを維持するとの期待感がある。両国の国債入札が波瀾なく終了すれば、あとはギリシャ債務減免協議の週内決着を意識し、リスク選好が続く可能性があるだろう。

円相場はクロス円の動向に注目したい。昨日の流れを引き継ぐようなら、円安方向へ振れやすい局面が多く見られるだろう。特に昨日指摘した豪ドルは、中国の好調な経済指標と商品相場の堅調さを受け、対ドルで重要なレジスタンスポイントの1.07ミドルレベル、対円では82円台をトライするムードが強まっている。この値動きに連動し、ユーロ円も100円台へと再び上昇している。
クロス円全般で再び堅調さを取り戻す展開となればその影響はドル円にも波及し、76円台維持の支援要因となるだろう。ただ、サポートラインをブレイクしたことでテクニカル面でもダウンサイドリスクは強まっており、数少ないサポート要因のクロス円が再びリスク回避傾向を強めるようなら、76円台ブレイクのシナリオを常に頭の片隅においておきたい。

ドル円 出典:Bloomberg
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豪ドル/米ドル 出典: Bloomberg
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2012.02.01 【FX Morning Report】当局の覚悟が問われる76円の攻防 豪ドルの動きにも注目

<リスク選好の鍵を握る米経済指標>
欧州債務危機が再びクローズアップされるなか、数少ないリスクテイクの要因と考えられていた米経済指標だが、先週末の10-12月期実質国内総生産(GDP、速報値)をはじめ市場予想を下回る内容が続いている。昨日はS&P/ケース・シラー住宅価格指数が季節調整済で前月比0.7%低下し、依然として米住宅の厳しい現状が浮き彫りとなった。また、1月の米消費者信頼感指数も雇用状況や収入見通しの低下が響き予想外に低下した。米金利低下圧力が強まり、ただでさえドルへの売り圧力が強まるなか、米景気に対する後退懸念まで浮上すれば投資家のリスク回避姿勢と逃避需要の拡大により、円買い圧力が更に強まることが考えられる。よって本日も、リスク選好の鍵を握る米経済指標をにらみながら、リスクトレンドを探る一日となりそうだ。特に米消費者信頼感指数の低下が雇用状況の厳しさを反映したものであることから、1月 ADP雇用統計やISM製造業景況指数(と雇用インデックス)の結果次第でリスクトレンドが方向づけられる可能性がある。

注目はドル円相場の値動きだろう。現在のところドル円は76円台を維持している。当局による介入を意識し始めている可能性が高いが、米欧が日本の単独介入に批判的であることから実際に介入に踏み切るか市場では意見が分かれている。また、今年が政治の季節という面もおいそれと単独介入に踏み切れない要因と考える。4月から5月にかけてはフランスで、11月上旬には米国でそれぞれ大統領選挙が控えているが、両国とも喫緊の課題として挙げているのが雇用対策だ。他国(日本)の人為的な近隣窮乏化政策(為替介入)により自国の国益を損なう政策は容認し難いだろう。また日本国内の政治情勢も、消費税増税をめぐり衆院解散総選挙の可能性もささやかれている。内憂を抱えたまま外交摩擦の火種を自ら蒔く覚悟があるのか、76円台維持の攻防は当局の覚悟が問われる水準でもある。なお、安住淳財務相は31日の閣議後会見で口先介入によるけん制をしたが、同財務相は昨年10月に75円台を投機的水準とみなしていた。
本日のドル円のオーダー状況を見ると、76.00ラインの下の水準(75.90以下の水準)にはストップが観測されており、リスク回避と米金利低下圧力を理由に投機筋がいつ円買いを仕掛けてきてもおかしくない状況と言えるだろう。また、75円ミドルレベルにもストップの観測があるため、当局が介入に踏み切らなければ75円台維持が焦点として浮上するかもしれない。

<豪ドル/米ドルは1.0770レベルをトライするか>
再びリスク回避局面へと移行しつつあるなか、資源国通貨は堅調さを維持している。昨日のAUD/NZD/GBPは、上昇幅が限られるも前日比では対ドルでプラスとなった。背景には商品相場の堅調な値動きが挙げられるだろう。米金融緩和の継続により商品相場へ資金が流入し、金先物価格は昨年12月8日以来となる1750ドルへ到達、NY原油先物も97ドル台で底堅さを維持したまま100ドルの水準をうかがう状況が続いている。
米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和第2弾(QE2)の際も同様の局面がみられたが、米国も含めた各国の金融緩和策を背景に商品価格がさらに上昇基調を強めれば、資源国通貨にとってはポジティブ要因となるだろう。特に豪ドル・米ドルの値動きに注目したい。チャートを見ると、サポートラインの傾きが急になり、上昇基調のトレンドチャンネルを維持していることがわかる。このトレンドを維持し続ければ重要な上値ポイント1.0755-65レベルをトライするだろう。そのような展開となれば豪ドル円も再び82円台を目指すことで、他の円相場をけん引する局面が多くなる可能性も考えられる。
本日午前9時半に豪では10-12月期の住宅価格指数の発表を控えているが、市場予想を上回るようなら商品相場の堅調さと合わさり豪ドルの下支え要因となり得るため注視したい。なお、1.0730レベルにはストップの観測がある。

ドル円 出典:Bloomberg
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豪ドル/米ドル 出典: Bloomberg
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2012.01.31 【FX Morning Report】再びクローズアップされはじめた欧州債務問題

<足並みの揃わない欧州に嫌気>
難航するギリシャの債務交換協議は欧州連合(EU)首脳会議でも決着が見られないとの懸念から、先週とはうって変わり為替市場ではドルと円に対する逃避需要が高まった。ユーロドルは1.30台まで急落、ユーロ円も一時100台を割り込む展開へ。また、他のクロス円も上値の重い展開となり、豪ドル円は80円ミドルの水準まで反落した。クロス円でリスク回避が強まったことにより、ただでさえ米連邦準備理事会(FRB)の金融緩和継続により売られ易いドル円でもドル売り・円買い圧力が強まり、76.33レベル(1/2 Low)をブレイクした。

「依然ギリシャについて協議しているという事実は、問題がまだ対処されていないことを物語っている」。ダボス会議でのオズボーン英財務相のこの発言が、現在の欧州債務危機と欧州当局者の現状を表している。市場が懸念しているのは、相変わらず統一感の見られない欧州当局者の対応だろう。その中心にいるのがドイツだ。イタリアのモンティ首相は欧州安定メカニズム(EMS)の資金力上限を2倍近く(現在は5000億ユーロ規模)に上げるよう求めれば、国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事も22日、ドイツのメルケル首相に対し、EMSの規模拡充とユーロ共同債の導入を要求した。しかし、メルケル独首相はこれら外部からの要求を頑なに拒否する姿勢を崩さなかった。その結果、今回のEU首脳会議では財政規律強化のための新条約では合意したが、チェコは不参加を決定。また、上記の金融安全網の再強化やギリシャの追加支援といった重要課題に関しても、またもや先送りされた格好となったことから、具体的進展に乏しい結果となった。
昨年から続いてきた欧州当局者の足並みの乱れは、彼らの政策能力に対する投資家の不安心理を掻き立てるには十分な材料だ。事実、ギリシャ問題が長引くにつれ、市場ではギリシャ同様に追加支援と債務減免が必要になるとの懸念が台頭しているポルトガルが、次のターゲットになるとの声が聞かれ始めている。ポルトガルの10年債利回りは17%台の水準に達し、1999年のユーロ発足以来の最高となった。また、イタリア国債やスペイン国債の利回りと安全資産とされるドイツ国債利回り格差も再び拡大傾向を示し、投資家の不安心理を表すVIX指数も20ポイントへ上昇するなど、欧州当局者の足並みの乱れを背景に再び伝染し始めた債務危機がリスク要因として市場で捉えられ始めたことを示していると言える。

債務危機を背景に、本日もユーロ相場は上値の重い展開となる可能性がある。ユーロドルは、1.30前半に位置する一目/転換線での攻防に注目したい。10日移動平均線とほぼ同じ水準に位置しており、1.30台維持の重要なテクニカルポイントとなる可能性があるからだ。ユーロ円は100の心理的ラインと99.30レベルに位置する21日移動平均線での攻防が焦点となりそうだ。再びリスク回避が強まるなか、ユーロの買い戻し材料として注目されるのはやはり経済指標だろう。本日もドイツでは雇用関連指標、米国では住宅関連指標や1月の消費者信頼感指数といった重要経済指標が発表される。市場予想を上回るようなら、上記のテクニカルポイントも意識される可能性が高まり、またIMM通貨先物で積み上がったユーロのショートポジションを意識し買い戻しが入る可能性が出てくる。
一方、ドル円は株式市場やクロス円のサポートがなければ、金融緩和の影響から短期筋がドル売りを仕掛け易い環境になっていることから、下値を試す展開となりそうだ。サポートラインと76.33レベルをブレイクしたことで、次の下値ポイントは76円維持が焦点だろう。76.00-10レベルにはビッドが観測されている。ただ、このレベルの下にはストップの観測(75.90との観測)もあるため、ギリシャやポルトガルの問題がクローズアップされ、経済指標も市場の期待を裏切るようなことがあれば株式市場やクロス円の上昇は見込めないことから、昨年10月31日以来となる75ミドルレベルを試す可能性も否定はできない状況となってきた。

ユーロドル 出典: Bloomberg
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ドル円 出典:Bloomberg
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2012.01.30 【FX Morning Report】トレンドが頻繁に変化する週となるか

<欧州情勢次第で再びリスク回避が強まる可能性も>
先週の世界の株式市場は、主要20カ国・地域のうち14市場で株価が上昇した。為替市場でもリスク選好が強まりユーロの買い戻しや資源国通貨の上昇が目立つ一方、ドルや円は相対的に売られる展開となった。
この背景には、欧州中央銀行(ECB)による3年物の資金供給で金融市場の緊張が一時的に後退したこと、そして米連邦公開市場委員会(FOMC)で異例の超低金利政策の継続期間が従来の2013年半ばから、少なくとも2014年終盤まで延長する方針が示されたことが大きい。日本も含めれば主要先進国が足並みをそろえて金融緩和策を実施することで過剰流動性期待が強まりやすい環境になっている。これを背景に今後、株式市場や商品市場でリスク選好姿勢が継続すれば、その影響が為替市場へと波及し、結果ユーロや豪ドルの下支え要因になることも考えられる。
しかし今週は、この流れが上下に激しく変化する週となる可能性があるだろう。リスク選好の裏には欧州債務問題がメインテーマとしてあり続けているからだ。そしてこの問題が、週初より投資家のリスク回避姿勢を強めるかもしれない。欧州連合(EU)首脳会議、ギリシャ債務危機の解決に向けた民間部門の関与(PSI)をめぐる交渉の行方(ギリシャ政府と民間債権者代表は先週末、1週間以内に妥結するとの見通しを示したが…)、そしてイタリアの国債入札が控えているためだ。日米欧の金融緩和により、先週はギリシャ債務交換協議が行き詰まりを見せても材料視されることなくユーロや豪ドルは上昇した。しかし同時に、ギリシャ同様、第2次支援と債務減免が必要になるとの観測からポルトガルの10年債利回りはユーロ導入以来の高水準を記録すれば、格付け会社フィッチ・がレーティングスがイタリア、スペイン、ベルギー、キプロス、スロベニアのユーロ圏5カ国の格付けを引き下げるなど欧州債務問題の伝染リスクは未だ広がりを見せ続けているのが実情だ。買い戻しが続いていたユーロ相場も、週末にさしかかると上値が重くなりはじめた背景には、本日のEU首脳会議で伝染する債務リスクに対して具体的な案が提示できるかどうか、この点に関して投資家の不安心理が反映されてのことだろう。
本日のユーロドルは上値がリトレースメント38.20%レベルの1.32ミドル、下値が一目/雲の下限が位置する1.3160レベルでの攻防に注目したい。

<経済指標がトレンドを左右する可能性が高い>
再び欧州債務危機がクローズアップされ、先週からのリスク選好の流れが変わるようなら、円相場では円安をけん引してきたクロス円の上値が重くなることで、ドル円も下値を試す展開となりそうだ。しかし、先に述べたように日米欧の金融緩和による過剰流動性への期待感から投資家のリスク選好姿勢は継続する可能性も残されている。今週はそのトレンドを見極めるためにも、上記の欧州イベントの他、主要国の経済指標に注目することが重要となりそうだ。特に米経済指標が堅調さを維持するかどうか、この点に市場の焦点が集まる可能性が高い。リセッション懸念が高まっている欧州や債務危機の影響を受け新興国の株式市場の上昇に期待できない以上、堅調さを維持する米経済の行方が投資家のセンチメントを左右する大きな要因となる可能性があるからだ。先週末に発表された10-12月期の 四半期実質国内総生産(GDP、速報値)がプラス2.8%と市場予想(プラス3.0%)に届かなかったことで投資家のリスク回避姿勢が強まったことでも、米経済指標に対する感応度が強いことがうかがえる。本日も22時半以降、12月の個人所得/消費支出など重要指標の発表が控えている。市場予想を下回るようなら先週末同様に投資家のリスク回避姿勢が強まり、円相場が円高方向へと振れる可能性が高まる。一方、市場予想を上回るようなら、上記の各国金融緩和の影響も重なりクロス円を中心に底堅い展開となるか注目したい。過剰流動性への期待により株式市場のみならず商品相場も上昇する可能性があり、豪ドルや利下げを見送ったNZDなどの通貨が堅調さを維持することで、引き続きユーロ相場もショートカバーが継続するシナリオも考えられる(IMM通貨先物の取組によればユーロショートは17万枚を突破した)。
ドル円は、クロス円の動向次第でトレンドが左右される可能性が高いか。FRBによる金融緩和によりドル売り圧力が強まるなか、ユーロ円や豪ドル円で上昇すれば金利低下によるドル売り圧力が相殺される可能性が残されているからだ。リスクオンの展開となれば、ドル円は77円台を中心としたレンジ相場へと戻り、78.00-78.30レベルをうかがう状況となる可能性が出てくるだろう。逆に欧州債務危機が再びクローズアップされ、経済指標の結果も市場予想を下回るようなら、リスク回避姿勢が強まることでクロス円全体も軟調となり、その結果ドル円は下値を切り下げ、76円台での攻防となる可能性が高まる。

ユーロドル 出典: Bloomberg
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